一本目の方杖Aを製作して取り付けます。macOS標準付属の辞書、スーパー大辞林によると、方杖とは「建築で、垂直材と水平材が交わる角に補強のために入れる短い斜材」です。
方杖は長い方が強度が増すと聞き、図面を修正し、長さ850mmの角材の両端を45ºの角度で卓上丸ノコを用いて切断しました。90mm角の杉材はウッドデッキのフェンスで使用していたものを再利用します。
180mmのボルトを角材の上に置いてみてボルト穴の位置を確認しました。45º切断面の中心より少し上の方がより丈夫に固定できそうです。ボルトは両側で埋め込むことになります。柱側は面一になるように。
45º切断面に対し、直交する貫通穴を空けます。Dowl-it(ダボ穴用の治具)を用いて細いドリルビットで下穴を空けてから13mm径のビットで穴を貫通させました。
右手と左手がほぼ同じように使えることを自慢していると、こんなことにもなります。座掘り角度45ºで斜めに穴を掘ったのは良いけれど、掘る向きが逆になってしまいました。利き手がはっきりしないと向きを逆にすることがよくあります。これでは座金は収まらないしボルトを締めることもできません。
修復不可能な廃材として薪にするには勿体無いので、この部分は2本の長いコーススレッドビスで留めようと考えました。方杖を柱Aと桁Aが直交する部分に持って行き、どんな感じになるのか試しにビス留めしてみると、長過ぎる。これではSuzuki HUSTLERの屋根が接触しそうです。掘る角度を間違えたのは不幸中の幸い。方杖の長さを短くして今度は向きに注意しながら座掘りをやり直しました。45º切断面と平行になるように掘れば良いのです。
本職の大工さんなら方杖を取り付ける柱と桁(梁)に切り欠きを入れますが、その最大の目的はずれを防止するためだと思っていました。実際に自分で方杖を取り付けてみようとすると、短くして軽くなったとはいえ、脚立の上で重い角材を、柱と桁が直交する部分に隙間なく押し当てながら柱と桁に空ける穴の位置を精確にドリルビットでマーキングするのは至難の技というか、不可能に近い。そこで編み出したのが上の画像。方杖の下端に印を付けてその位置に板の端材を釘打ちして仮り固定。この板の上に方杖を置いて、方杖に空けた穴にドリルビットを通し、その先端で柱に印を付けるという方法です。
印を付けた位置に13mm径のドリルビットで穴を貫通させ、ボルトの頭が収まる部分を座掘りしました。柱を立てる前、桁を載せる前に方杖用の穴を空けておくと作業が容易になります。しかし、基礎とした沓石の位置や羽子板ボルト用の穴の位置が微妙にずれているかもしれないし、そもそも木材が反っていると、図面通りには施工できません。ここはやはり現場合わせになります。
苦戦しながら製作した1本目の方杖Aを取り付けました。切り欠きがなくてもずれそうにありません。
柱Aと桁Aの角に取り付けた方杖Aは長さが695mmになりました。この高さなら背の高い乗用車が干渉することはないはずです。
方杖の長さを変更したので図面も修正しました。また、ご近所の設計事務所社長の助言に従い、垂木の本数を増やしました。垂木の本数を片面で2本増やすことで、スパンが566mmから493mmになり、積雪時の荷重に耐えることができると思います。屋根のフレームは在来工法ではなく、トラスを組む予定なので、垂木のスパンはもっと長くても良いかもしれませんが、念のため。
方杖製作と取り付け作業の難易度:5段階で4